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千葉県民司法書士事務所

債務整理

2017年1月27日 (金)

住宅ローンがある場合の債務整理について

住宅ローンがある場合の債務整理

自宅を失いたくない,という気持ちは誰しも持っています。

念願のマイホームですから当然です。

また,小学生や中学生がいるご家庭では,学区の問題や慣れ親しんだその地域,育ったその家にずっと住み続けたいと思っているでしょう。

 

任意整理の場合

 

住宅ローンがあっても,任意整理は可能です。

住宅ローンは,任意整理の対象にはなりませんが,住宅ローン以外の借金を任意整理することによって債務を圧縮して,住宅ローンの返済を少し楽にすることができます。

また,住宅ローン以外の借金を圧縮しても,それだけでは,住宅ローンの返済が楽にならない場合には,住宅ローンの返済自体を軽くすることも考えなければなりません。

住宅ローンについて,利息ゼロにすることはできませんが,返済期間を延長したり,元金据置といって,住宅ローン以外の債務について,任意整理で決まった期間の返済が終わるまでの間は,元金だけ支払って,住宅ローンの利息は,任意整理の期間が満了した後に上乗せして支払うというものです。

しかし,これには,住宅ローン債権者の承諾が必要となるため,簡単にはいかないことも多くあります。

借り換え(A銀行の住宅ローンを,B銀行で新たに住宅ローンを組んで完済して,利率などの好条件の住宅ローンに切り替えるというもの)も検討することになりますが,住宅ローン以外の負債は,信用情報機関に登録されているため,住宅ローンの申し込みをしても,審査に通りにくいことが想定されます。

このような場合には,住宅ローンは現状のまま支払いを継続していくこととし,住宅ローン以外の借金について月額返済額を大きく減らす必要があります。

まずは,住宅ローン以外の借金について,どの程度まで毎月の返済額を減額させることに成功するのかが一つの鍵となります。

なお,住宅ローン以外の借金に関しては,任意整理をすると,それ以降の利息の支払いは原則免除になりますので,返済計画が立てやすくなります。

今までは,毎月1万円を返済しても,7000円は元金に充当されますが,残りの3000円は利息の返済に充てられるため,元金は7000円しか減りませんが,任意整理を行うことで,毎月1万円を支払えば,確実に元金が1万円減っていくことになります。

 

注意点としては,住宅ローン契約の約定に,次のような定めがあった場合です。

第〇条 お客様が,次の各号の一つにでも該当する事由が発生した場合は,当社からの通知,催告等がなくても,本契約による一切の債務につき当然に期限の利益を失い,直ちに債務を全額返済するものとします。

①お客様に破産,民事再生の申立てがあったとき

②お客様の預金その他の当社に対する債権について,仮差押または差押命令,通知が発送されたとき

(以下略。なお,銀行毎に文言や内容が異なりますので,ご自身の住宅ローン契約書等でご確認ください。)

住宅ローン以外の借金について,その債権者から住宅ローンを組んだ銀行に対する預金が差押を受けた場合,上記条項では,そのときにある住宅ローン残債を全額一括で返済(以後,分割返済はできないということ)しなければならなくなりますので,住宅ローン以外の借金については,遅滞に陥る前に適切に対処する必要があります。

 

 

個人民事再生の場合

民事再生は,該当するページをご参照いただきたいのですが,概要を述べると,住宅ローン以外の借金が,大幅に減額され,その減額された金額を原則3年で返済していくものとなります。

仮に,住宅ローン以外で500万円の借金があった場合,裁判所から再生計画の認可決定をもらうと,この500万円という借金が100万円に減額され,この減額された100万円を原則3年間で支払い,無事に支払い終えれば,500万円あった債務がゼロになるという手続きです。

この例ですと,月額返済額は,約2万7778円となり,500万円の借金を支払っていたときに比べれば,大きな減額になり,住宅ローンの返済がより支払いやすくなります。

しかし,任意整理と違って,個人民事再生の場合は,裁判手続きとなりますので,上記一例でありますが住宅ローン契約の約定にもあるとおり,民事再生の申立てをすると全額一括返済という事態にもなりかねませんが,個人民事再生には,住宅ローンに関し,特別な規定(住宅ローン特別条項)があり,これを利用できる限りにおいては,一括返済を強いられることはありませんのでご安心ください。

また,個人民事再生の申立をする際には,事前に,住宅ローン債権者との事前協議というものが必須となります。

したがって,住宅ローン特別条項を使う個人民事再生の場合には,住宅ローン債権者に内緒で手続きを進めることはできませんし,逆にいうと内緒にする必要もないのです。

なお,既に住宅ローンの返済に遅れが生じている場合で,保証会社への代位弁済が実行されてから6か月が経過してしまうと,住宅資金特別条項は使えなくなるので注意が必要です。

住宅ローンの支払いが滞ってしまう前に,まずは,無料相談をご利用いただくことをお勧めします。

 

 

自己破産の場合

この場合は,自宅の確保は,困難になります。

もし,この家にどうしても住み続けたいという強いお気持ちがあれば,親族に自宅を購入してもらって賃貸借等で済むか,あるいは自分たちが住み続けることを条件として購入してくれる買主を探さなければなりません。

買手が親族の場合には,賃料については柔軟に対応してくれると思われますが,第三者の場合には,投資として購入しているため,相場の賃料をそこに住んでいる間支払い続けなければなりません。

支払いを滞れば,明け渡しの請求を受けて,結局は,そこを出ていかなければならなくなります。

もしかすると,住宅ローンを支払っていたときとあまり変わりない金額の賃料になるかもしれませんし,これでは,何のために破産をしたのか分からなくなる場合もあります(このような場合には,上記の個人民事再生を先に検討してもよいでしょう。)。

この辺は,住宅ローン以外の借金先や借金の額にもよって異なってきますが,十分な検討が必要です。

 

自宅確保を諦めて自己破産をする場合

 選択肢としては,大きく分けると2つあります。

1 住宅ローン債権者(または保証会社)が競売の申立てを行い,第三者に落札されるまで,その自宅に住み続ける。

 この場合,住宅ローンの滞納状況や物件の評価によっても異なってきますが,半年間程度は住み続けられます(落札者が現れなければ,もう少し長く住んでいられます。)。

この間に,転居先を探したりするなどして出ていく準備をしていくことになりますが,この期間は,執行裁判所の進み具合や物件の立地などによっても異なるため,不確定要素が多くあり,いつでも出ていけるように準備をしなければなりません。

2 自宅を任意売却する。

 競売という裁判所が関与する強制的な手放し方ではなく,簡単にいうと,自宅(不動産)を売主として条件の合う第三者に売却することになります。

 

 任意売却のメリットとしては,

 1 予め引越しなどの日程を,自分たちで柔軟に決めることができる。

 2 一般的に,競売よりも高値で取引されるため,保証人などがいる場合,債務をより圧縮することができる。

 3 形式的には,通常の売買なので,近所の方に住宅ローン等の滞納があることなどを知られる心配が減少する。

 4 引越費用を,一定程度は確保できる(場合によっては持ち出しなく引越しができる。)。

 5 滞納しているマンション管理費等がある場合,任意売却で清算される。

 6 住宅ローン債権者も,競売よりも高値で売れるということは,それだけ多く回収できるので,協力的である。

 7 任意売却後の住宅ローンの残額について,事情に応じて低額な金額での分割弁済の合意ができる可能性があり,合意した内容を履行している限りにおいては,給与等の差押えは原則ない。

 

 競売の最大のメリットは,

 何も自分たちでする必要がない(法律の規定に従って淡々と進められる。)。

 

 

一方任意売却のデメリットとしては,

1 抵当権が複数ある場合,後順位抵当権者が同意しないと成功しない。

2 自分で交渉することは困難なため,不動産業者に依頼しなければならないが,専門の不動産業者であれば,持ち出しゼロで,仲介手数料は,最後に売買代金から清算するが,専門でない不動産業者の場合,費用を請求されたりするケースもある。

3 既に競売手続きが開始している場合,時間的制約があり,期限内に買主が見つからない場合には,競売が先に完了してしまう可能性がある。

4 形式的には,通常の売買ですので,購入希望者に内覧させ,その立会も場合によってはしなくてはならない。

 

 

競売のデメリットは,

1 裁判所から選任された評価人や執行官が,自宅周辺で写真を撮影したりして近所の目が気になる。

2 競売物件は,裁判所で内容を閲覧したり,インターネットで公告されるため,一般的に近所の方が知ることは少ないと考えられるが,情報が公開されることにより,購入希望者や競売専門業者等が,近所に聞き込みをすることあるため,近所に不審に思われる可能性がある。

なお,参考までに民事執行法上,現地調査として次の規定がある。

 

民事執行法第57

  1. 執行裁判所は,執行官に対し,不動産の形状,占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。
  2. 執行官は,前項の調査をするに際し,不動産に立ち入り,又は債務者若しくはその不動産を占有する第三者に対し,質問をし,若しくは文書の提示を求めることができる。
  3. 執行官は,前項の規定により不動産に立ち入る場合において,必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
  4. 執行官は,第1項の調査のため必要がある場合には,市町村(特別区の存する区域にあつては、都)に対し,不動産(不動産が土地である場合にはその上にある建物を,不動産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写しの交付を請求することができる。
  5. 執行官は,前項に規定する場合には,電気,ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を行う公益事業を営む法人に対し,必要な事項の報告を求めることができる。

 

 

2015年9月29日 (火)

特定調停後の過払い請求

 特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律に基づく特定調停手続において,借主と貸金業者間で従前成立していた特定調停の効力等が争われていた事件であり,下級審において判断が分かれていたものの,最高裁がはじめて判断を下したものである。

 特定調停手続において,清算条項(お互い(貸主及び借主)に債権・債務はない)が定められるが,債務以外に,過払金請求権もこの清算条項によって権利行使ができなくなるか否かであるところ,これまで,錯誤無効や公序良俗違反等によって調停自体の成立を否定するなどして過払金は請求できるなどの下級審判決があったが,最高裁は,特定調停事項は,特定債務者の債務のみであり,過払金返還請求権には調停条項は及ばない,よって,調停自体が公序良俗に反し,全体として無効になることはない,という判断を示した。

 これによって,過去,特定調停手続を利用し,当時,債権債務が存しない等の精算条項があり他方で過払金返還請求権を有していた場合,調停自体が無効になるのではなく,債務に関する確認事項は有効に成立し,特定調停手続きの本旨ではない過払金返還請求権は消滅しないことから,今後,同種事案について,論点が整理されたことになる。

事件番号 平成25(受)1989
事件名 不当利得返還請求事件
裁判年月日 平成27年9月15日
法廷名 最高裁判所第三小法廷


判示事項
裁判要旨 過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で成立した調停であって,借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及びいわゆる清算条項を含むものが公序良俗に反するものとはいえないとされた事例

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/318/085318_hanrei.pdf

 

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2014年8月 4日 (月)

免責許可決定が確定しても

 債務者の免責許可決定が確定しても,直ちに強制執行手続の開始が妨げられないとした,東京高裁の判決が出ております(東京高裁平成26年2月25日決定 債権差押命令に対する執行抗告事件)。

 

 事案の概要として,

 債権者は,債務者に対し,判決により確定した不法行為に基づく損害賠償債権及び支払済みに至るまでの遅延損害金に係る債権を有していた。

 その後,債務者は,破産事件において,免責許可決定を受け,その後,確定した。

 債権者は,上記の債務名義(判決)に基づいて,債務者が第三債務者(勤務先)から支払われる給料,賞与及び退職金に対する債権差押命令を申立て,同命令は,債務者及び第三債務者に送達された。

 債務者は,既に破産免責事件において,免責許可決定が確定しているとして,民事執行法に基づく執行抗告を申し立てた。

 抗告の理由として,債務者は,破産事件で免責許可決定を受け,この決定が確定しているのであるから,その後に発令された債権差押命令は取り消されるべきである,としていた。

 これに対し,東京高裁は,

「債権者は,債務者の破産免責手続の終了後は,破産債権を自由に行使でき,債務名義を取得しているときは,それに基づく強制執行をすることができる。そして,債務者の免責許可決定が確定していても,破産債権が非免責債権に該当するか否かは執行裁判所が判断すべき事項ではなく,債務者が責任の消滅を理由として請求異議の訴えを提起し,または強制執行停止を申し立てることはできるものの,免責許可決定の確定が直ちに執行手続の開始を妨げる事由にはならない。したがって,債権差押命令に取消事由があるとは認められず,債務者の主張は採用できない。」として,執行抗告棄却決定がされたものである。

 破産法改正によって,非免責債権の一部が改正されたが,本件で問題となっているのはのは,「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債権」「故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償債権」であるとして,債権者は自己の債権は免責されないとの認識のもとに本件債権差押を行ってきたものと推測されます。

 これまでは,破産者が免責許可決定を受ければ,その許可書の写しを提出するなどすれば,債権者は取立てを諦める場合が相当数ありましたが,このような非免責債権に該当すると考えらえる債権を持つ債権者としては,免責許可決定が出たからと言って直ちに諦めることはせず,強制執行の手続きを行ってくる場合も増えるかもしれません。

 そこで,債務者としては,請求異議の訴え,強制執行停止の申立てなどをするなどして,これに対抗していかなければならない場面も増えるかもしれません。

2013年4月24日 (水)

ジャックスの貸金取引履歴の開示について

 ジャックスの取引履歴の保管状況と貸金利率に関する情報は次のとおりです。

1 取引履歴が記載された帳票(マイクロフィルム)は,平成7年4月以前の一部期間については,廃棄済みである。

2 クレジットカードにおけるリボ払い及び回数指定払いの貸金の利率は,平成9年2月以降,利息制限法上の制限利率に改定している。

 その後の,利率改定も利息制限法の範囲内であり,現在は,全て年18%以下である。

 ローンカードにおける貸金の利率は,業務開始から,利息制限法上の制限利率の範囲内である。

 

 したがって,ジャックスとの取引が平成9年2月以降であれば,引き直し計算をしても,過払金が発生する可能性は高くはなく,また,平成7年4月よりも前から貸金取引があった場合,ジャックス側は履歴を破棄している部分もあるため,顧客の通帳等により履歴の再現をする必要もあります。

2013年4月12日 (金)

過払利息の充当問題

4月11日に出た最高裁判決です。過払利息の後発借入金に対する充当関係について,明確に判示されております。

平成22年(受)第1983号 不当利得返還請求事件
平成25年4月11日 第一小法廷判決

主 文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由
上告代理人石井宏治の上告受理申立て理由について

1 本件は,上告人が,貸金業者である被上告人との間の継続的な金銭消費貸借
取引について,各弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正
前のもの。以下同じ。)1条1項所定の制限を超えて利息として支払った部分を元
本に充当すると過払金が発生していると主張して,被上告人に対し,不当利得返還
請求権に基づき,過払金及び民法704条前段所定の利息(以下「法定利息」とい
う。)の支払を求める事案である。上告人は過払金について法定利息が発生した場
合にはまずこれをその後に発生する新たな借入金債務に充当し,次いで過払金をそ
の残額に充当すべきであると主張するのに対し,被上告人は法定利息を新たな借入
金債務に充当することはできないと主張してこれを争っている。

2 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 上告人は,被上告人との間で,継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返
される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結し,
これに基づき,昭和57年8月26日から平成20年12月11日までの間,第1
審判決別紙計算書1の「借入金額」欄及び「弁済額」欄記載のとおり,継続的な金
銭消費貸借取引を行った(以下,この取引を「本件取引」という。)。

(2) 本件基本契約は,基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項
所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当
時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債
務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。

(3) 被上告人は,発生した過払金の取得について民法704条の「悪意の受益
者」であった。

(4) 被上告人は,第1審判決後の平成22年3月11日までに,本件取引に係
る過払金返還債務の履行として,上告人に対し882万3802円を支払った。

3 原審は,上記事実関係の下において,過払金について発生した法定利息を新
たな借入金債務に充当することはできないと判断した上で,被上告人が平成20年
12月11日の時点で上告人に対して負っていたのは,本件取引により発生した過
払金543万3013円及びこれに対する同日までに発生した法定利息305万2
156円の合計848万5169円であったところ,被上告人が平成22年3月1
1日までに882万3802円を弁済したことにより上告人の被上告人に対する不
当利得返還請求権は消滅したとして,上告人の請求を棄却した。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,
過払金について発生した法定利息を過払金とは別途清算するというのが当事者の合
理的な意思であるとは解し難い。そうすると,継続的な金銭消費貸借取引に係る基
本契約が過払金充当合意を含むものである場合においては,過払金について発生し
た法定利息の充当につき別段の合意があると評価できるような特段の事情がない限
り,まず当該法定利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過払金を新たな借入金
債務の残額に充当すべきものと解するのが相当である。 前記事実関係によれば,
本件基本契約は過払金充当合意を含むものであり,本件において上記特段の事情が
あったことはうかがわれないから,本件取引については,まず過払金について発生
した法定利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過払金を新たな借入金債務の残
額に充当すべきである。

5 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違
反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,過払金の額等に
ついて更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 白木 勇 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官
横田尤孝 裁判官 山浦善樹)

2012年11月19日 (月)

サラ金・フリーローンに関する消費生活相談

 先日,国民生活センターから公表された情報によりますと,貸金業法等の改正の効果からか,「サラ金・フリーローン」の相談が大きく減少したそうです。

 この「サラ金・フリーローン」の消費生活相談とは,消費者金融業者クレジット会社,銀行等が扱う,使途を限定しないで設定される消費者ローンに関する相談となっている。

 ここから読み取ると,住宅ローンや自動車ローン等,使途が明確になっているものを除いた相談ということができる。

 公表されたものによると,平成20年までには,毎年12万件くらいの相談が寄せられていたようですが,貸金業法等の改正が完全施行された後の,平成23年度は,5.6万件と,ピーク時の半分以下にまで減っているという。

 改正貸金業法の完全施行は,平成22年6月18日であるが,それまでの経過は,次のようなものであります。

平成18年年12月20日
・公布
平成19年1月20日
・罰則強化
同年12月19日
・取立規制強化
・新貸金業協会設立(自主規制ルール強化)等
平成21年6月18日
・貸金業務取扱主任者制度(資格試験実施)
・財産的基礎要件引き上げ(2千万円へ)
・指定信用情報機関制度の導入
平成22年6月18日
・貸金業務取扱主任者制度(配置を義務化)
・財産的基礎要件引き上げ(5千万円へ)
・事前書面交付義務の導入
・総量規制の導入
・上限金利の引き下げ等


 相談の件数は,PIO-NETから集計をされておりますが,このPIO-NETとは,全国消費生活情報ネットワークのことで,国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び,消費者から消費生活センターに寄せられる相談情報を収集しているシステムです。

2012年10月15日 (月)

制限利率を超える利息の取扱い裁決事例(国税不服審判所)

 利息制限法上の制限超過利息を収受した場合の,貸金業者の課税上の取扱いに関する,国税不服審判所の決済事例です。

 アイフルは,過払い訴訟のおいて税金上の問題について主張してくるが(排斥されるが),国税不服審判所の制限利息に関する考え方の一端が分かる。

 本裁決事例は,多岐に渡る論点(主張)がありますので,全文は,当事務所のホームページの新着にリンク掲載しておりますので,そちらをご覧ください。

 制限利率についてのみの判断だけ,記しておきます。

法令解釈

イ 推計課税について
 課税処分における課税標準の認定は、実額計算の方法によるのが原則であるが、所得税法第156条は、所得の金額を推計して課税することを認めているところ、これは、納税義務者が、収支を明らかにし得る帳簿書類を備えていない、帳簿書類を備えていても記帳が不正確である、あるいは、資料の提供を拒否する等税務調査に非協力であるなどのため、実額での把握が不可能又は著しく困難である場合、課税を放棄することは租税の公平負担の見地から許されないため、税務署長が入手し又は容易に入手し得る推計のための基礎事実及び統計資料等の間接的な資料を用いて、所得金額に近似した額を推計し、これをもって課税することを是認する趣旨と解される。
 そうすると、所得金額を推計して所得税に係る課税処分を行う場合には、推計の必要性及び合理性がその要件となるものであり、原処分庁が推計によって主張している収入金額を含む所得の金額の認定については、推計をする必要性及び合理性がその要件となる。
ロ 貸付金の利息等の収益計上について
 所得税法第36条第1項は、その年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする旨規定しており、ここでいう「その年において収入すべき金額」とは、その年において収入すべきことが確定した金額によるべきことを示しているものと解されるところ、所得税基本通達36-8において、金銭の貸付けによる利息で契約等により支払日が定められているものについては、その支払日に収入すべきものとされており、当審判所においても、上記通達の定める契約内容に基づく取扱いは相当であると認める。
 一方、債務者に対して、利息制限法による制限利率を超過する利率をもって金銭を貸し付け、利息、遅延損害金を収受している場合の収益計上については、次のとおり解するのが相当である。

 すなわち、まず、現実に利息、遅延損害金が収受された場合には、確かに、利息制限法による制限利率を超過する利息、遅延損害金の支払がされても、当該制限超過部分は、民法第491条《元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当》により残存元本に充当されるものではあるが、課税の対象となるべき所得を構成するか否かは、必ずしも、その法律的性質によって決せられるものではなく、当事者間において約定の利息、遅延損害金として授受され、貸主において当該制限超過部分が元本に充当されたものとして処理されることなく、依然として従前どおりの元本が残存するものとして取り扱っている以上、制限超過部分をも含めて、現実に収受された利息、遅延損害金の全部が貸主の所得として課税の対象となるものと解すべきである。
 次に、利息、遅延損害金が未収の場合には、その履行期が到来すれば、現実にはなお未収の状態にあるとしても、所得税法第36条第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものとして、課税の対象となるべき所得を構成するものと解されるが、それは、特段の事情のない限り、収入実現の可能性が高度であると認められるからである。一方で、利息制限法による制限利率を超過する利息、遅延損害金は、その基礎となる約定自体が無効であって、約定の履行期の到来によっても、法律上、利息、遅延損害金は生じることはなく、貸主としては、借主がこれを支払うことを事実上期待し得るにとどまるのであって、収入実現の蓋然性があるものとはいえず、制限利率を超過する利息、遅延損害金は、たとえ約定の履行期が到来しても、未収である限り、所得税法第36条第1項に規定する「収入すべき金額」に該当しないものと解すべきである。したがって、利息、遅延損害金が未収の場合には、利息制限法による制限利率の限度においてその約定の履行期が到来する年分の収益として計上し、当該制限利率を超過する部分については、現実に受領しない限り、収益計上をすることはできないものである。
 なお、利息、遅延損害金が未収の場合において、それ以前に利息制限法による制限利率を超過する利息、遅延損害金の支払がされているときは、現実に元本に充当していたか否かに関わらず充当されたものとして、その残額(残元本)についてのみ利息、遅延損害金を生じることとなるのであって、当該残元本を基準にした制限利率の限度において収益計上をすることとなる。

2012年8月21日 (火)

消費者金融利用者の人物像調査結果

株式会社NTTデータ経営研究所は,消費者金融の利用者・利用経験者を対象に,消費者金融の利用状況等に関するアンケート調査を実施しました。

この調査結果により,利用者の属性や借入行動に関する5つの消費者金融利用者のタイプが明らかになったようです。

『主な調査結果』

1 消費者金融利用者は,借入れのスタイルによって,「生活維持借入タイプ」「一時借入タイプ」「趣味・娯楽タイプ」「多重借入タイプ」「少額借入タイプ」の5つのタイプに分類されるという。

①生活維持借入タイプ(36.5%)の主な特徴は,

・収入が減ったこともあり,生活を維持するために数社から比較的多額の借入れを行っているが,きちんと返済をしている。

・30代の既婚女性で,家族構成は,夫と子供。

・収入は不安定で,貯蓄比率も低いが,持ち家比率は高い。

②一時借入タイプ(19.7%)の主な特徴

・ショッピングやレジャーのために,1社から比較的多額の金額を一時的に借入れている。

・30~40代の既婚女性で,家族構成は,夫と子供。

・収入は安定しており,貯蓄比率・持ち家比率ともに高い。

③趣味・娯楽タイプ(15.8%)の主な特徴

・複数の借入先から自身の趣味や遊興費のために,比較的多額の金額を借入れているが,滞納等はない。

・40代の既婚男性で,共働きの妻と子がいる。

・社会的なステータスが高く,収入も安定しており,貯蓄比率・持ち家比率も高い。

④多重借入タイプ(21.8%)の主な特徴

・他の借入金を返済するために,5社以上からかなり高額の借入れをしている。

・計画を立てておらず,返済は滞りがちで,1か月以上滞納したこともある。

・40代男性で,相対的に結婚していない人が多い。

・収入は安定しているものの,低く,貯蓄比率・持ち家比率共に低い。

⑤少額借入タイプ(6.2%)の主な特徴

・お小遣いの補填のために,1社から少額の借入れがあるものの,きちんと返済している。

・20~30代の既婚男性で,専業主婦の妻と子がいる。

・収入は安定して高く,貯蓄比率・持ち家比率も高い。

2012年8月20日 (月)

アエル株式会社

アエル株式会社は,昭和44年に山一物産株式会社として創業し,その後,日立信販株式会社と商号を変更し、店舗網を全国展開していていたが,平成18年12月に成立した改正貸金業法の施行により,貸し付け基準の厳格化の影響や,顧客から過払金返還請求訴訟が続出して,資金繰りが悪化したことから事業継続が困難とな,平成20年3月24日,東京地裁民事再生法の適用を申請,平成20年8月29日をもって全国の全有人店舗が閉鎖された。

その後,平成21年4月に民事再生計画の認可決定がなされたものの,その内容は返済率はわずか5%という過払い債権者にとって厳しい内容であった。

認可された再生計画において,再生計画認可確定の3年後の時点で弁済率の再計算を実施し,当初弁済率である5%を,2%以上上回る弁済を行うことが可能となった場合には,弁済済みの再生債権者(過払い債権者等)に対し,当該差額を,追加で分配する旨の規定がされていた。

アエル株式会社では,再生計画の定めに従って,債権届出の状況や入居保証金等の残余財産の換価処分の状況を踏まえ,弁済率の再計算を行った結果,見直し後の弁済率は6.812%となった。

この見直しの弁済率は,再生計画で定めた弁済額の5%に対し,それを2%上回る場合に該当しないものの,アエル株式会社は,再生計画を変更した上で,再生債権者に対し,5%を超える部分である1.812%の追加配当を行うとした。

これと併せて,債権放棄や消滅時効の完成などによって債権届出がなされなかった再生債権について,弁済をこれ以上行う可能性がなくなった時点で,予定弁済総額と弁済実総額との差額を分配することが,再生計画に定められていたところ,上記差額を超える残余財産がある場合,当該残余財産を含めて分配するよう再生計画を変更した。

この再生計画の変更は,平成24年4月18日,東京地裁で変更決定が出ている。

そして,同月23日,東京地裁でアエル株式会社に対する再生手続の終結決定がなされた。

この追加の分配手続きに関しては,平成24年10月18日までに実施する予定とされております。