特定調停後の過払い請求
特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律に基づく特定調停手続において,借主と貸金業者間で従前成立していた特定調停の効力等が争われていた事件であり,下級審において判断が分かれていたものの,最高裁がはじめて判断を下したものである。
特定調停手続において,清算条項(お互い(貸主及び借主)に債権・債務はない)が定められるが,債務以外に,過払金請求権もこの清算条項によって権利行使ができなくなるか否かであるところ,これまで,錯誤無効や公序良俗違反等によって調停自体の成立を否定するなどして過払金は請求できるなどの下級審判決があったが,最高裁は,特定調停事項は,特定債務者の債務のみであり,過払金返還請求権には調停条項は及ばない,よって,調停自体が公序良俗に反し,全体として無効になることはない,という判断を示した。
これによって,過去,特定調停手続を利用し,当時,債権債務が存しない等の精算条項があり他方で過払金返還請求権を有していた場合,調停自体が無効になるのではなく,債務に関する確認事項は有効に成立し,特定調停手続きの本旨ではない過払金返還請求権は消滅しないことから,今後,同種事案について,論点が整理されたことになる。
事件番号 平成25(受)1989
事件名 不当利得返還請求事件
裁判年月日 平成27年9月15日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
判示事項
裁判要旨 過払金が発生している継続的な金銭消費貸借取引の当事者間で成立した調停であって,借主の貸金業者に対する残債務の存在を認める旨の確認条項及びいわゆる清算条項を含むものが公序良俗に反するものとはいえないとされた事例
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/318/085318_hanrei.pdf
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