代表者の住所変更登記
株式会社などの代表者の住所変更登記には,添付書類は何も必要ありません(第三者に委任した場合には委任状は必要です)。
不動産登記の場合,所有者等の住所を変更する場合には,住民票などが添付書類になり,住所移転した日なども正確に申請書に記載しなければなりません。
不動産権利の登記には,登記期限はありませんが,商業・法人登記は,多くは,事由の生じたときから2週間以内と定められていることから,上記のような取扱いなのかもしれません。
冒頭の代表者住所変更で,添付書類に住民票が不要なため,本来の移転日とは異なる日付を記載しても,登記官には分かりません。
2週間以内に登記をしなければならないと規定されていながら,住所の異動をしても,うっかり忘れてしまい,気が付いたら2年も3年も経過していることもあることだと思われます。
そうなると過料(登記懈怠)の命令が来る場合もあり得るため,虚偽で2週間以内の日とすることも,心理的には理解できなくもないですが,これをすると,電磁的公正証書原本不実記載罪にあたる場合もあり得ますし,また,銀行融資を受ける際,住民票と会社登記事項に記載された住所移転日が異なることから,事情を聴かれたり,場合によっては融資審査が通らない場合もあるようなことを聞いたことがあります。
過料は,行政罰ですが(行政罰だからいいというわけではありませんが),上記のような事態になれば刑事罰という重石を背負うことになり,たった数文字で人生の道を誤ってしまう可能性もあります。
私は,専門職として,登記申請には不要であったとしても,確認義務があると判断すれば住民票を持ってきてもらい,そこに記載された移転日を申請書に反映させ,登記記録という公示機能を適正に護っているつもりです。
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