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千葉県民司法書士事務所

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2014年8月 4日 (月)

免責許可決定が確定しても

 債務者の免責許可決定が確定しても,直ちに強制執行手続の開始が妨げられないとした,東京高裁の判決が出ております(東京高裁平成26年2月25日決定 債権差押命令に対する執行抗告事件)。

 

 事案の概要として,

 債権者は,債務者に対し,判決により確定した不法行為に基づく損害賠償債権及び支払済みに至るまでの遅延損害金に係る債権を有していた。

 その後,債務者は,破産事件において,免責許可決定を受け,その後,確定した。

 債権者は,上記の債務名義(判決)に基づいて,債務者が第三債務者(勤務先)から支払われる給料,賞与及び退職金に対する債権差押命令を申立て,同命令は,債務者及び第三債務者に送達された。

 債務者は,既に破産免責事件において,免責許可決定が確定しているとして,民事執行法に基づく執行抗告を申し立てた。

 抗告の理由として,債務者は,破産事件で免責許可決定を受け,この決定が確定しているのであるから,その後に発令された債権差押命令は取り消されるべきである,としていた。

 これに対し,東京高裁は,

「債権者は,債務者の破産免責手続の終了後は,破産債権を自由に行使でき,債務名義を取得しているときは,それに基づく強制執行をすることができる。そして,債務者の免責許可決定が確定していても,破産債権が非免責債権に該当するか否かは執行裁判所が判断すべき事項ではなく,債務者が責任の消滅を理由として請求異議の訴えを提起し,または強制執行停止を申し立てることはできるものの,免責許可決定の確定が直ちに執行手続の開始を妨げる事由にはならない。したがって,債権差押命令に取消事由があるとは認められず,債務者の主張は採用できない。」として,執行抗告棄却決定がされたものである。

 破産法改正によって,非免責債権の一部が改正されたが,本件で問題となっているのはのは,「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債権」「故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償債権」であるとして,債権者は自己の債権は免責されないとの認識のもとに本件債権差押を行ってきたものと推測されます。

 これまでは,破産者が免責許可決定を受ければ,その許可書の写しを提出するなどすれば,債権者は取立てを諦める場合が相当数ありましたが,このような非免責債権に該当すると考えらえる債権を持つ債権者としては,免責許可決定が出たからと言って直ちに諦めることはせず,強制執行の手続きを行ってくる場合も増えるかもしれません。

 そこで,債務者としては,請求異議の訴え,強制執行停止の申立てなどをするなどして,これに対抗していかなければならない場面も増えるかもしれません。

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