相続放棄の調べ方
債務者に相続が発生した場合,被相続人(亡くなられた方)の債権者が,まず行うのが相続人の調査ですが,多額の負債等を負っている場合,相続人の方(達)が相続放棄をすることはよくあることです。
相続人の方が,相続放棄申述受理証明書を任意に提出をしてもらえれば,債権者としては,次の段階(相続財産に対する競売等)に移れますが,そうではない場合,相続放棄をしたことを証明する資料をどのように入手するのか? という問題です。
家庭裁判所(相続放棄の申述がなされた庁)に対し,「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書」を添付書類と共に提出をすれば,相続人(申述人)の事件番号や受理年月日を把握することができます。
これは,被相続人の債権者だけではなく,他の相続人も申請をすることができます。
次に,被相続人の債権者は利害関係人として,相続放棄申述受理証明の申請を行うことが可能です。
この申請は,相続人1名の証明書1通につき,150円の収入印紙が必要です。
なお,限定承認の証明書の場合は,相続人の数にかかわらず,150円の収入印紙で証明書が発行してもらえます。
利害関係人を前提とすると,この申請に必要な書類は次のとおりです。
①申請書(2通)
②被相続人の除籍謄本
③相続人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
※上記②,③については場合を分けて必要な戸籍関係書類を記載すると,
Ⅰ 相続人が配偶者のみの場合
・被相続人と同一の現在の戸籍謄本
Ⅱ 相続人が被相続人の子,孫等の直系卑属の場合
・被相続人の除籍謄本
・相続人の現在の戸籍謄本
・被相続人と相続人が同籍していた戸籍謄本または除籍謄本
・孫などが相続人の場合(代襲相続)は,被代襲者の除籍謄本
Ⅲ 相続人が親の場合
・被相続人の出生から死亡までの除籍謄本等
・相続人の現在の戸籍謄本
Ⅳ 相続人が祖父母の場合
・被相続人の出生から死亡までの除籍謄本等
・被相続人の両親の除籍謄本
・相続人の現在の戸籍謄本
Ⅴ 相続人が兄弟姉妹の場合
・被相続人の出生から死亡までの除籍謄本等
・被相続人の両親の除籍謄本
・被相続人の祖父母の除籍謄本
・相続人の現在の戸籍謄本
・兄弟姉妹が既に死亡しており甥や姪に代襲が生じていれば,被代襲者の除籍謄本
④被相続人の除票または戸籍の附票
⑤申請人の戸籍謄本(3か月以内)
⑤-1 申請人が法人の場合には代表者事項証明書または法人登記事項証明書(3か月以内)
⑥利害関係の存在を疎明する資料
(例:借用書,訴状,競売申立書,競売開始決定,債務名義(判決等)(以上は写しを提出),抵当権設定等が記載された登記事項証明書など)
⑦相続関係図
⑧相続人(申述人)の相続放棄申述受理通知書の写し
※上記相続放棄等の申述の有無についての照会をした後,3か月以内にこの証明申請をする場合で,照会に対する回答書の写しを添付すれば,上記②~⑧の添付書面は不要(照会の際に提出しているため)。
上記提出した戸籍関係書類ですが,コピーを取って原本と共に提出すれば,原本還付を受けることができます(それ以外の書類は還付を受けられません)が,取扱いの有無については管轄の裁判所にお尋ねください。
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