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千葉県民司法書士事務所

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2013年9月13日 (金)

嫡出でない子(最高裁決定)

 民法第900条第4号ただし書の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分が,日本国憲法第14条第1項に違反するという決定が出たことはご存知の方も多いかと思います。

 この最高裁決定で判断された大きな点は2つ。

1 嫡出でない子の相続分が,嫡出子の相続分の2分の1との規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法第14条第1項に違反していたということ

2 この最高裁決定の違憲判断は,平成13年7月からこの最高裁決定までの間に開始された相続について,民法第900条第4号ただし書の規定を前提として行われた遺産分割の審判その他の裁判,遺産分割協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない

というものです。

 この最高裁決定を受けて,法務省民事局民事第二課補佐官,同局商事課補佐官より,それぞれ首席登記官あるいは供託課長宛に通達が発せられました。

 ここでは供託に関し,当面の間の取扱いが出ましたので記してみます。

1 供託金払渡請求については,平成13年7月以降に相続が開始した事案について,嫡出子または嫡出でない子から遺産分割協議書等を添付することなく,法定相続分に基づく供託金の払渡しを請求された場合は,嫡出と嫡出でない子の相続分を等しいものとして払い渡すこと。

2 債権者不確知を原因とする供託については,嫡出子または嫡出でない子からの法定相続分に基づく預金等の払戻しについて,拠るべき法定相続人が不明であるとして債権者不確知を原因とする供託申請がされた場合は,個別事案の内容によるものの,新たな立法がなされるまでは法定相続分が不明または不確定であるという理由だけでは債権者不確知とはいえないため,供託を受理することはできない。

3 法定相続分を提供したことに対する受領拒否を原因とする供託については,相続人に対し,法定相続分による弁済の提供を行い,受領を拒否された債務者が,法定相続分に相当する金銭を供託すると供託書に記載して供託をする場合,その供託書の記載のみでは嫡出でない子の法定相続分が問題となる事案かどうか判断できないため,特段の対応を行う必要はない。

ただし,遺産分割協議書等によることなく嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とすることを明示した上で債務者から供託の申請がなされた場合は,債務の本旨に従った提供がないと判断され,供託が無効となる可能性があることに説明し,理解を求めること。

4 過去の供託金払渡しの効力については,平成25年9月4日よりも前に,供託金の全部または一部を既に払い渡している場合は,過去の供託金の払戻しが有効であることを前提とした上で,①同決定の時点で供託金の全部を払渡し済みの場合は,払渡認可を取り消す必要はなく,②供託金の残額が存在する場合には,遺産分割協議書等を添付することなく払渡請求がなされたときは,その残額の範囲内において,嫡出子と嫡出でない子の相続分を等しいものとして払渡しをすれば足りることとする。

流動的な部分もありますが,今後,立法等がなされるなどして明確になりましたら,またお知らせしたいと思います。  

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