クレジット契約の無効判決(京都地裁)
美容院を経営する女性が,ホームページ制作会社の従業員から「ホームページを作れば必ず客が増える」などと勧誘を受け,信販会社とクレジット契約を締結して,同会社と契約をした。
判決によると,実際の契約内容は販売促進用のCDの売買であったが,美容院経営者が制作会社の再三に渡る勧誘により契約をしたのは,ホームページ制作の請負で,その代金の支払いについて信販会社とクレジット契約を締結したと考えていたことは明らかと認定し,契約の内容の認識の食い違いについて美容院経営者に重大な過失はない事から,信販会社の落ち度を認定して契約を無効とした。
美容院経営者は,中小企業者と位置づけられており,一般的には消費者に該当するとはいえないため,消費者契約法の適用を正面から受けることは難しい。
本判決は,一般法を使って既払い金の返還を認めたものであるが,事業者に既払い金を全額返還させる判決は,異例といえるものの,一つの事例判断として,今後,これを応用して事業者あるいは消費者被害の救済に役立てたい。
なお,この判決が一般的な解決となると,混乱も想定されてることから,控訴される可能性は高く(信販会社としては,控訴審でもこのような判決が出ることを避ける意味から和解をする可能性もある),今後の動向に注視したいと考える。
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