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千葉県民司法書士事務所

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2013年8月 6日 (火)

遺言の必要性

 遺言は,自己の死期が近づいてからするものと思っておられる人がいますが,人間は,いつ,何があるかも分かりません。

 いつ何があっても,残された家族が無用な争いを回避するよう配慮してあげるのが,遺言の作成ということなのです。

 人間の死は本当に悲しいものです。しかし,人はいつか必ず死んでしまうものです。 残された愛する家族のため,本当に最後にしてあげられることが遺言なのかもしれません。 亡くなってしまった後は,もう自らの意思を表示することはできません。

 遺言があれば,こんなに揉めなくてもよかったのに・・・という事例も散見されます。 また,財産がそんなにないから・・・ということで,遺言の必要性を感じられない方も多いと思いますが,相続(争続)は,金額の多寡ではありません。 残された財産が少なくても揉めることも多いのです。 

 住宅ローンが残っているから財産とよべるものはないし・・・住宅ローンの契約と同時に生命保険契約も締結されていることも多く,死亡によって保険金で住宅ローンが完済になることもあります。 そうすると・・・。

 また,遺言は,いつでも自由に要式に則って訂正や撤回ができますので,状況の変化に応じて対応することも可能です。

以下は,日本公証人連合会のQ&Aの一部ですが,特に遺言が必要と思われる例示を掲げられております。

以下引用させていただきます。

 

 1

 夫婦の間に子供がいない場合
 夫婦の間に子供がいない場合に,法定相続となると,夫の財産は,妻が4分の3,夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。しかし,長年連れ添った妻に財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。そうするためには,遺言をしておくことが絶対必要なのです。兄弟には,遺留分がありませんから,遺言さえしておけば,財産を全部愛する妻に残すことができます。

 2

  

 再婚をし,先妻の子と後妻がいる場合
 先妻の子と後妻との間では,とかく感情的になりやすく,遺産争いが起こる確率も非常に高いので,争いの発生を防ぐため,遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえましょう。

 3

 長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
 長男死亡後,その妻が亡夫の親の世話をしているような場合には,その嫁にも財産を残してあげたいと思うことが多いと思いますが,嫁は相続人ではないので,遺言で嫁にも財産を遺贈する旨定めておかないと,お嫁さんは何ももらえないことになってしまいます。

 4

 内縁の妻の場合
 長年夫婦として連れ添ってきても,婚姻届けを出していない場合には,いわゆる内縁の夫婦となり,妻に相続権がありません。したがって,内縁の妻に財産を残してあげたい場合には,必ず遺言をしておかなければなりません。

 5

 個人で事業を経営したり,農業をしている場合などは,その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと,上記事業の継続が困難となりましょう。このような事態を招くことを避け,家業等を特定の者に承継させたい場合には,その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。

 6

 上記の各場合のほか,各相続人毎に承継させたい財産を指定したいときとか(例えば,不動産は,お金や預貯金と違い,事実上皆で分けることが困難な場合が多いでしょうから,これを誰に相続させるか決めておかれるとよいでしょう。),あるいは,身体障害のある子に多くあげたいとか,遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか,可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように,遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には,遺言をしておく必要があります。

 7

 相続人が全くいない場合
 相続人がいない場合には,特別な事情がない限り,遺産は国庫に帰属します。したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会,社会福祉関係の団体,自然保護団体,あるいは,ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。

~以上で引用を終わります。

このように,遺言が必要となる事例も多く,遺留分に配慮しつつ遺言をすることも大切です。

 概要だけですが,

①公正証書遺言ですが,これは公証人が遺言内容を公正証書にしてくれるもので,証人2名が必要です。

作成した遺言は,大切に公証人役場に保管されます。

そして,公証人に頼むので,公証人手数料が発生します。これは遺言する内容によって変わってきます。

②次に自筆遺言ですが,これは,遺言内容と,その遺言を書いた日付け,お名前,押印が要件となりますが,証人などは不要です。

しかし,自分で保管するか,保管者を見つける必要があります。

また,遺言の効力が発生したら,家庭裁判所において,検認という手続きをとらなければなりません。このときに,裁判所の手数料が発生します。

何れの方法も一長一短ありますが,面倒ですが,後日のトラブルを避ける意味では,公正証書遺言がベターかと思います。

遺言で定められる内容は,

相続に関すること

  1. 推定相続人の廃除 又は廃除の取消し(893・894)

  2. 相続分の指定又は指定の委託(902)

  3. 遺産分割方法の指定又は指定の委託(908)

  4. 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言

  5. 特別受益の持戻し免除(903③)

  6. 遺産分割の禁止(908)

   7.遺贈の減殺方法の指定(1034但書)

  8. 相続人相互の担保責任について指定(914)

 相続財産の処分に関すること

  8. 遺贈(964)

  9. 財団法人の設立(寄付行為)(41②)

  10. 信託の設定(信託法2)

      

 身分に関すること

  11. 子の認知(781②)

  12. 未成年後見人、未成年後見監督人の指定(839・848)

 

 遺言の執行に関すること

  13. 遺言執行者の指定又は指定の委託(1006)

  14. 遺言執行者の職務内容の指定(1016①但書・1017①但書)

 

 その他

 15. 祭祀承継者の指定(897①但書)

 16. 遺言の取消(1022)

 17. 生命保険金の受取人の指定・変更(保険法44①)

また後に詳しくご説明したいと思います。

つづく

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