労働事件
先日,労働に関する被告事件で和解をしました。
本件,原告の請求は,残業代,未払い賃料,不当解雇及びパワハラによる損害賠償の各請求事件でした。
なかなか盛り沢山の内容でした。
結局,3回目の弁論期日で和解となったのですが,法廷を一旦離れ,調停室へ行き司法委員(2名)と和解に向けた協議が始まりました。
通常,司法委員は1名が原告・被告の間に入るのですが,本件は事件の特殊性から2名の司法委員が付いたようです。
まずは,金額の歩み寄りからはじめ,ある程度のところまで行きました。
和解する金額については,ある程度,依頼者より事前にいただいていたので,その範囲内での協議となったのですが,それを若干上回る金額の提示があり,依頼者に確認をしたところ,想定の範囲内ということで,金額については,承諾をもらいました。
しかし,金額は,合意するとして,その条件として,原告には,被告会社にこれ以上接触をしてきてほしくない,との強い意向があったことから,その旨も和解調書に記載してほしいと司法委員にお願いをしたところ,「原告を刺激してはいけない。折角,ここまでまとまったのだから,それ以上原告に要求しない方がいい。そもそもそんな条項は入れられない。」などと,依頼者の強い希望が叶えられそうもない嫌な雰囲気が漂いはじめました。
私としては,接触しないことと連絡を取り合わない確認条項を和解調書に入れてくれるよう,説得を始めました。
これが依頼者の意向であり,和解をする条件のため,金額で合意したとしてもその他の条件で折り合わなければ,合意も何もあったものではありません。
司法委員としては,いい線まで行っているため,再度,原告に対し,新たな問題提起をして,折角まとまりつつある合意を反故にされては,今までの苦労が水の泡であることも理解できるところです。
また,タイミングもあるでしょう。
しかし,食い下がって,最終的には,裁判官が条項を決めるため,裁判官に確認してもらい,条項を入れてもらえることになりました。
正直,なんてことない一文ですが,私は依頼者のため,依頼者の利益と意向を最大限に叶えることが使命ですので,時間の掛かった期日ではありましたが,依頼者も後で充分に納得いただける内容となりました。
判決では書かれない一文のため(原告がそれを求めていないし,特段反訴もしていないため),和解には一定の満足のいくこともあるものだと改めて感じた一日でした。
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