奨学金の問題
奨学金とは,能力のある学生に対し,金銭の給付・貸与を行う制度で,金銭的・経済的理由により修学困難とされる学生に修学を促すことを目的とすることも多いが,金銭的・経済的な必要性を問わず,学生の能力に対して給付されることもある(ウィキペディア)。
色々調べてみると,一口に奨学金といっても色々な種類のものがあるのが分かります。
誰でも,勉学の道へと進むことのできる機会を与えてくれる制度として有用なのですが,一方で,卒業後に返済に苦しむ若者が急増しているのも事実です。
ある新聞記事で,「530万円 20年返済総額700万円」という見出しを見つけた。
入学時50万円,毎月の貸与額が10万円で,卒業時の借入れ総額は530万円ということである。 そして,卒業後20年かけて毎月3万円ずつ返済した場合,総額は700万円を超えるという。
学費の高騰,家計収入の大幅な減少などで,奨学金に頼らざるを得ない人は増える一方である。 今や,奨学金は,人生で2番目に高い買い物と揶揄される。
卒業後,正規雇用され働ければまだ何とかなるかもしれないが,非正規雇用の増大,ワーキングプアなど,大学や専門学校を卒業したからといって直ぐに返済の目途ができる保障も今の日本にはない。
日本学生支援機構では,一定の期間,返済を猶予する一方で,期限を過ぎた若者達に対して取立てを強化し,返済を求めて年間4000件以上の訴訟を起こしているという。
現在,奨学金を返済している人達は,237万人おり,そのうち21万人以上が3か月以上の滞納となっており,この場合,信用情報機関に滞納状況が登録されてしまい,そうなると,ローンを組むことも困難となってくる。
大学を出て,「いよいよ社会人だ」と夢と希望を抱いて旅立つ社会人一年生は,多額の借金を背負い,返済計画が立たずに,滞納を繰り返し,訴訟を提起され,信用情報機関に登録までされ,どうやって人生を絵を描いていくというのだろう。
奨学金とは聞こえはいいが,もはや,今は単なる教育ローンと変わらないのではないか。 また,奨学金を借りる際,親が保証人となるケースもある。
一方の親も,住宅ローンを抱え,会社の上司からは肩を叩かれたり,あるいは定年を迎えるなどして,決して余裕のある生活を送っているものでもない。
本人は,親に迷惑をかけまいと,懸命に奨学金を返すためにハローワークに通う。
これでは,結婚も遠のいてしまう。
勉学に勤しむ多くの学生が,卒業後も,胸を張って社会の一員として日本の将来を引っ張っていかなければならないのに・・・
« 平成23年12月1日及び同月15日 最高裁判決 | トップページ | 新年の挨拶回り »
「法律」カテゴリの記事
- 嫡出子と非嫡出子の相続分(2016.07.14)
- マイナンバー(2015.11.25)
- 平成27年11月現在の千葉家庭裁判所の予納郵券(2015.10.29)
- 遺留分減殺請求(2015.07.03)
- 法テラス利用条件(収入要件)(2014.12.03)