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千葉県民司法書士事務所

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2012年10月15日 (月)

制限利率を超える利息の取扱い裁決事例(国税不服審判所)

 利息制限法上の制限超過利息を収受した場合の,貸金業者の課税上の取扱いに関する,国税不服審判所の決済事例です。

 アイフルは,過払い訴訟のおいて税金上の問題について主張してくるが(排斥されるが),国税不服審判所の制限利息に関する考え方の一端が分かる。

 本裁決事例は,多岐に渡る論点(主張)がありますので,全文は,当事務所のホームページの新着にリンク掲載しておりますので,そちらをご覧ください。

 制限利率についてのみの判断だけ,記しておきます。

法令解釈

イ 推計課税について
 課税処分における課税標準の認定は、実額計算の方法によるのが原則であるが、所得税法第156条は、所得の金額を推計して課税することを認めているところ、これは、納税義務者が、収支を明らかにし得る帳簿書類を備えていない、帳簿書類を備えていても記帳が不正確である、あるいは、資料の提供を拒否する等税務調査に非協力であるなどのため、実額での把握が不可能又は著しく困難である場合、課税を放棄することは租税の公平負担の見地から許されないため、税務署長が入手し又は容易に入手し得る推計のための基礎事実及び統計資料等の間接的な資料を用いて、所得金額に近似した額を推計し、これをもって課税することを是認する趣旨と解される。
 そうすると、所得金額を推計して所得税に係る課税処分を行う場合には、推計の必要性及び合理性がその要件となるものであり、原処分庁が推計によって主張している収入金額を含む所得の金額の認定については、推計をする必要性及び合理性がその要件となる。
ロ 貸付金の利息等の収益計上について
 所得税法第36条第1項は、その年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする旨規定しており、ここでいう「その年において収入すべき金額」とは、その年において収入すべきことが確定した金額によるべきことを示しているものと解されるところ、所得税基本通達36-8において、金銭の貸付けによる利息で契約等により支払日が定められているものについては、その支払日に収入すべきものとされており、当審判所においても、上記通達の定める契約内容に基づく取扱いは相当であると認める。
 一方、債務者に対して、利息制限法による制限利率を超過する利率をもって金銭を貸し付け、利息、遅延損害金を収受している場合の収益計上については、次のとおり解するのが相当である。

 すなわち、まず、現実に利息、遅延損害金が収受された場合には、確かに、利息制限法による制限利率を超過する利息、遅延損害金の支払がされても、当該制限超過部分は、民法第491条《元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当》により残存元本に充当されるものではあるが、課税の対象となるべき所得を構成するか否かは、必ずしも、その法律的性質によって決せられるものではなく、当事者間において約定の利息、遅延損害金として授受され、貸主において当該制限超過部分が元本に充当されたものとして処理されることなく、依然として従前どおりの元本が残存するものとして取り扱っている以上、制限超過部分をも含めて、現実に収受された利息、遅延損害金の全部が貸主の所得として課税の対象となるものと解すべきである。
 次に、利息、遅延損害金が未収の場合には、その履行期が到来すれば、現実にはなお未収の状態にあるとしても、所得税法第36条第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものとして、課税の対象となるべき所得を構成するものと解されるが、それは、特段の事情のない限り、収入実現の可能性が高度であると認められるからである。一方で、利息制限法による制限利率を超過する利息、遅延損害金は、その基礎となる約定自体が無効であって、約定の履行期の到来によっても、法律上、利息、遅延損害金は生じることはなく、貸主としては、借主がこれを支払うことを事実上期待し得るにとどまるのであって、収入実現の蓋然性があるものとはいえず、制限利率を超過する利息、遅延損害金は、たとえ約定の履行期が到来しても、未収である限り、所得税法第36条第1項に規定する「収入すべき金額」に該当しないものと解すべきである。したがって、利息、遅延損害金が未収の場合には、利息制限法による制限利率の限度においてその約定の履行期が到来する年分の収益として計上し、当該制限利率を超過する部分については、現実に受領しない限り、収益計上をすることはできないものである。
 なお、利息、遅延損害金が未収の場合において、それ以前に利息制限法による制限利率を超過する利息、遅延損害金の支払がされているときは、現実に元本に充当していたか否かに関わらず充当されたものとして、その残額(残元本)についてのみ利息、遅延損害金を生じることとなるのであって、当該残元本を基準にした制限利率の限度において収益計上をすることとなる。

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