外国人の破産
最近,お隣の国の方の破産申立てをしました。
さて,在日外国人の破産はどのように扱われるのでしょうか?
在日外国人及び外国法人は,破産手続において,日本人または日本法人と同一の地位を有します(破産法3条)。
平成12年の改正前までの旧法2条は,「外国人又は外国法人は破産に関し日本人又は日本法人と同一の地位を有す。ただしその本国法に依り日本人又は日本法人が同一の地位を有するときに限る。」と規定しており,ただし書きの部分で,相互主義を規定していました。
近年は,相互主義という考え方が,私的法律関係における国際的協調の理念に反するという考え方も強くなってきておりまして,平成12年の破産法改正により,旧法ただし書きの部分が削除されたことにより,明文上,完全な内外人平等主義が明確になりました。
(改正当時は2条に規定されていましたが,平成16年改正の新破産法により,3条に移されました。)
この内外人平等主義の結果,外国人,外国法人であるという理由だけで日本の破産手続き上特別の扱いを受けることはありません。
国際的な破産事件について,どの国の裁判所が手続申立てを受付け,手続きを開始する権限を有するかを決定するルールが国際破産管轄の問題です。
債務者が,日本に国籍を有し,また日本に住所を持つ場合に日本に国際破産管轄が認められることはいうまでもありませんが,外国に国籍を有し,本拠を有する場合などは,日本といかなる関係があれば国際破産管轄を認めることができるのか,必ずしも明白であるとはいえません。
そこで,平成12年には,旧法104条の2が設けられ,現在の4条(破産事件の管轄)に引き継がれています。
この規定によれば,破産申立ては,債務者が個人であるときは,日本国内に営業所,住所,居所または財産をを有するとき,また債務者が法人その他の社団または財団であるときは日本国内にその営業所,事務所または財産を有するときに限ってすることができます。
また,日本で破産した事実が,当該外国人の本国に通知等がされるのか,疑問に思い書記官に尋ねたところ,そのような制度はない,ということでした。
ただ,本国にある財産も処分の対象となりますし,本国の債権者も配当を受ける権利がありますので,日本の破産債権者と同様に破産債権者として漏れないように気をつける必要があります。
なお,民事再生も外国人の方が申立てをすることができます。
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